2019年11月23日土曜日

【報告】新潮講座・国分寺篇

11月17日(日)の新潮講座・国分寺篇の報告です。日立製作所中央研究所の公開日でした。

国分寺駅の北側の谷をぐるりと歩きました。カシミール3Dにて作成。

明治39年測図(今昔マップより)。国分寺駅周辺の地形がよくわかります。恋ヶ窪と野川の谷には水田、台地上は桑畑や樹林となっています。1889(明治22)年に甲武鉄道(現在のJR中央線)が、1894(明治27)年に川越鉄道(現在の西武国分寺線)開業しました。

昭和12年修正22年資修(今昔マップより)。国分寺駅から連雀通りにかけての細長く密集した町並みと、駅南や駅西の農村が対照的です。1910(明治43)年に東京砂利鉄道専用線(後の下河原線)が、1928(昭和3)年に多摩湖鉄道(現在の西武多摩湖線)が開業しました。

昭和41年改測(今昔マップより)。日立製作所中央研究所は、1918(大正7)年に建てられた今村銀行の頭取今村繁三の別荘を1942(昭和17)年に買い取ったものです。

国分寺駅北口には変わったマンホールがあります。1955年(昭和30年)に日本初のロケット(ペンシルロケット)発射実験を国分寺で行なったことから設置されたロケットマンホールです。12種類のロケットが描かれたマンホールとペンシルロケット発射60周年記念のマンホールもありますので、是非探してみてください。

現在、発射実験が行われた場所は早稲田実業学校になっています。「日本の宇宙開発発祥の地」顕彰碑が正門前にあります。

早稲田実業学校前から市立小中にかけて谷が続いています。見事なスリバチビューです。

反対側から。駅前にタワマンができたためスリバチを強調するような景色になりました。

今日のお目当て、日立製作所中央研究所です(下見時の写真)。

午前10時から午後2時30分受付終了、午後3時までです。

正門から入るとすぐ谷が現れます。この研究所を囲むように二つの谷がありますが、この谷は東側の谷で敷地を北に向かい東恋ヶ窪に続いていきます。谷にかかる橋を「返仁橋(へんじんばし)」または「変人橋」と呼びます。名前の由来はこちらをご覧ください。→ 日立の理念

橋からは谷底を流れる豊富な水の流れが見えました。今年は度重なる台風と大雨の影響により湧水地の水量は多い傾向です。

模擬店コーナーもあります。

坂道を下っていくと、さきほどの谷に入る道があり、川のように水が流れています。残念ながら入れません。

大池は野川の水源のひとつです。大池から野川への水門は普段動かしていないそうです。

西武国分寺線とJR中央線をくぐり、野川の流れになります。

大池は湧水を集めてなみなみとしていますが、造られたのは1958(昭和33)年になります。国分寺駅からほど近い所にこれだけの自然が残されているのは驚きですが、これは日立創業者の小平浪平氏の「よい立木は切らずによけて建てよ」という意志を受けたものです。詳しくはこちらを→ 構内の自然

湧水を見るために並んでいます。

その湧水。崖下にある木の根元から、こんこんと湧き出していました。

外に出るには「返仁橋」をまた渡ります。来春の公開日は4月5日(日)と案内がありました。

花沢通りから熊野神社通りに。研究所の雑木林からの谷が続いていく様子がわかります。

恋ヶ窪用水跡。1657(明暦3)年に開削された国分寺用水からの分水です。2017(平成29)年に市の重要史跡となり、西武国分寺線の南側が整備されました。

中世の古道、鎌倉街道上道。鎌倉街道は、日立製作所中央研究所西側の谷を南北に通っています。

谷の東側の崖上に鎮座するのが熊野神社。14世紀前半の社伝に新田義貞と鎌倉幕府軍の戦いにより社殿が焼失したという記録があります。

東福寺。恋ヶ窪伝説に由来する一葉松が植えられています。恋ヶ窪伝説とは『鎌倉幕府の有力御家人の畠山重忠は、恋ヶ窪宿の遊女夙妻太夫と相愛の仲になった。重忠が平家討伐のため西国に出陣している間に、二人の仲を引き裂こうした男が太夫に「重忠は戦死した」と嘘を告げたたため、悲しみにくれた太夫は姿見の池に身投げしてしまった。』という伝説です。太夫の死を哀れんだ村人が植えた松が悲しみのため一葉になったのが、一葉松です。

恋ヶ窪用水。武蔵野線のトンネルに湧き出た水を利用して整備したものです。

姿見の池。恋ヶ窪宿の遊女達が自らの姿を映して見ていたという伝承がある池です。昭和40年代に埋められましたが、1993(平成5)年に東京都の「国分寺姿見の池緑地保全地域」に指定され、1999(平成11)年度に湿地や用水など池周辺が整備されました。


住宅街の周辺には用水の痕跡がところどころに残っていて興味深いです。

左側が日立製作所中央研究所の敷地、JR中央線が野川の谷を越えて走ります。

次回の新潮講座は、12月15日(日)小金井篇です。


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